真っ白

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随分前のことだが思い出した。

「激走！ドリフトテクニック箱根編」
といった感じの題名のビデオをレンタルビデオ屋で
借りたことがあった。料金はたしか３００円ぐらい。
峠道で車を走らせてそれを車載カメラで撮影しました、
というようなやつ。

今も昔も走り屋的な趣味は全くないのだけれども、
当時に乗っていた車にテレビとビデオデッキがついていたので
「車の中でこういうビデオを見るのも面白いかも」
と思って借りてみた（笑）。

再生したら本編映像の前に
「気象条件等のやむを得ない事情により映像の
見にくい部分がありますが御了承下さい」
というテロップが流れた。
そして本編。
カメラは車内の中央やや運転手よりに設置されている模様。
映像のアングルとしてはハンドルを握る運転手の手元と、
フロントガラス越しの車前方の風景が両方同時に見えるように
セッティングされていたらしい。

らしい、というのは、
いざ車が峠道に乗り入れたら、
あたり一面が濃霧に包まれた状態で、車外は白一色.
まったく風景が見られなかったから。
画面上で映像に変化が見られるのは、ただひたすら
ハンドルを右に左に切り返す運転手の手元のみ。
フロントガラスのむこうは、ただひたすら真っ白なだけ。
それでも「さすがにそのうちには霧も晴れるのだろう」
と思って見ていたら最後まで白い映像で終わってしまった。

まあ、あれだけ霧で視界が悪い道を走り抜けたのだから
確かに「激走！」かもしれないが、
実際のところは激しいドリフト、あっという間に後方に
流れ去る風景、どうですこの疾走感！という映像を収録するつもりが、
撮影当日が濃霧注意報に見舞われて
それでも予算やらなんやらの都合で
日を改めて取り直すわけにもいかず・・
ってところだろ間違いない。
今でも思い出すと腹がたつが。
あれは有料で人にみせる代物ではなかった。
テロップを一言いれたからって済むレベルじゃない
３００円返せ（怒）と頭にきた。

なんでこんなことを思い出したかと言うと、
「スカイツリー展望台、濃霧で景色見られず」
というニュース映像を見たから。
抽選をくぐりぬけて３０００円払って
展望台に上がったのに白一色の景色しか
見えなかった人の気持ちが
１０分の一程度だけれども
自分にも判るような気がしたから。

スカイツリーの運営側も
天気が悪いからって返金するわけにも
いかないだろうけれど、
景色が悪い時のフォロー案はなにか
検討・準備しているのだろうか？
そうであれば嬉しい？のだが
余計な御世話だろうけれど気になった。

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