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読書「空飛ぶタイヤ」池井戸潤 [雑感]

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ここのところ池井戸潤先生の作品を続けて読んでいる。
TVドラマ「半沢直樹」になって大ヒットした「俺たちバブル入行組」
「下町ロケット」などだ。
そして最近読んだのが「空飛ぶタイヤ」
なにかメルヘンチックな題名だが、内容はシビアだ。
十数年前に実際に問題になった某自動車メーカー製トレーラーの
タイヤ脱落事故を基にした話。
中小企業レベルの運送会社のトラックのタイヤがハズレ死亡事故が起きた。
運送会社では充分な整備をしており、自身も被害者のはずなのに
世間は自動車会社に非があるなど考えず、運送会社を加害者扱い。
社長は自身のてで冤罪を晴らそうとするが・・という物語。
登場する人物それぞれに事情と思惑があり、それが物語りが進行するに
つれて様々に変化していく。
意外と早い段階でメーカーの側の問題は内部的にはあきらかになるが
それでも大企業と中小企業の立場や世間の信用の違いは大きく、
運送会社社長の苦難は次から次へと。

話の基となったタイヤ脱落事故は実際に起こっている。
そうとうに世間を騒がせた大事件だ。
事件が起きたのは2002年、タイヤが外れたのは大型トレーラーで
ハズレたタイヤはその他のパーツもいれて140kg前後あったらしい。
そんなものが飛んできたらたまったものではない。

さて・・実は私は実際にこの事故を起こしたメーカーの車のユーザーだった。
トレーラーではなくセダンタイプの普通車だったが。
そして私の車もタイヤが脱落した。
そのときの経験も踏まえてこの本を読んだので、
なんともいえず顔を顰めてしまった。
まさに、あの会社にしてこの事故あり、と言う感じが
(フィクションではあるが)よく感じられたからだ。

トレーラーの事故が起きる1年か2年前だと思う。
徐行程度のスピードで角をまがろうとしたら突然、車が
衝撃とともに止まってしまった。
あれ、側溝にタイヤを落としちゃったか?と思い
車を降りて確認したら、タイヤが外れていた。
当初は何でそうなったのか全くわからなかった。
とくに事故をしたりぶつけたりという記憶もなかったので
「なんで」「まさか」という思いしかなかった。
更に驚いたのは修理に出したディーラーからの返事が
「車両の整備不十分が原因。メーカーに責任なし」
ということだったこと。
整備不十分と言われてもちゃんと車検は通しているのだし、
それ以上どうしろと?
納得はいかなかったがかといって出来ることもなかった。
幸い怪我も他者に与える損害もなかったので泣き寝入り?になった。
車は当時に付き合いのあった修理工場の社長が修理を引き受けて
くれたので御願いした。
しかし、それから1ヶ月もしたころ、またタイヤが外れた。
このときも駐車場から車を発進させた直後だったので
スピードも出ておらず、それほど公道にも出ておらず
大事には至らなかった。
そのときも先の修理工場の社長が「あまりに短期間で外れたので」
無償でまた修理してくれた。

その後、他の部分でも故障が頻発したので車自体を手放した。
その故障に関しても思うところは山ほどあるのだが・・。

そして1年くらいたってから同じ会社のトレーラーからタイヤが脱落したこと、
本来、構造欠陥があったことをメーカー全体で隠蔽していたことなどが
わかり、自分の場合も・・という思いが募った。

しかしよく考えれば一番の被害者は修理工場の社長のはずだ。
私も「いくらなんでもタイヤが外れる車をメーカーは作らんだろう」
と当時は思っていたし、
その上で修理した車が短期間でまた壊れれば
「これは修理した工場の問題だろう」
と思ってしまった。
しかし今になって考えれば恐らくは原因は・・。

あの時、無償で修理してくれた社長にも、実は言いたいことは
合ったのだろうと思う。
修理工場社長の思いも、「空飛ぶタイヤ」の主人公と同じだったのではないか。
あの時はそれが人身事故に繋がらなかっただけで。

社長さんには本当にすまないことをしたと思う。





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