「独走」堂場瞬一・著 [読書]
警察物の作品で有名だが、
野球やマラソンなどのスポーツを舞台にした物も多数書いていらっしゃる
堂場先生の2013年の作品。
以前に堂場先生の「チーム(箱根駅伝に学連選抜で出場する寄せ集め集団の物語)」や
「ヒート(チームの続編的作品。最初から世界記録樹立を狙って企画されたマラソン大会の物語)」
を読んだがとても面白く、今回
「柔道のオリンピックメダリストがランナーを指導する物語がある」
ときいて、これは読まずにいられない、早速読んでみた。
感想・・面白かったけれど微妙
読む前に予想していたストーリーは
「メンタルが弱いランナーを、柔道家が武道精神を叩き込んで成功するスポ根物。」
だったのだが、実際には
「個人の意思や個性にまで干渉するスポーツ行政へのアンチテーゼ」
といった感じだった。
柔道は、武道としてよりも、近代スポーツ行政が良くも悪くも浸透仕切った存在として
物語的にはどちらかというと悪役みたいな立場。
その辺が柔道経験者としてはちょっと微妙だったのだけれど、
そういう目でみたら実際にそうかもしれんなあとも思ってしまった。
「ジェノサイド」高野和明・著 読了 [読書]
パニック小説「槐(エンジュ)」「災厄」 [読書]
パニック小説なども読んでいる(笑)。
「槐(エンジュ) 月村 了衛・著」
「災厄 周木 律・著」
エンジュは、悪党達に制圧された湖畔のキャンプ場で生き残るために
戦う中学生達+エンジュ(女性闘士)のバトルアクション。
中学生を守るため教頭先生が戦うシーンもあるが、
これがかなり泣ける柔道シーンになっている。
災厄はテロか感染症かわからぬまま四国が壊滅していく話。
とっぴもない設定だと思いきや、壊滅原因の真相に思わず驚愕。
同時に社会権力の醜悪さも考えさせられる。
どちらも大勢の人が亡くなる話なので、読後壮快というわけにはいかないが
エンターテイメントとして割り切れば、かなり楽しめた作品でした。
山岳小説「神々の山嶺」「凍」「還るべき場所」 [読書]
ここしばらく山岳小説に嵌っていた。
「神々の山嶺(夢枕獏・著)」
「凍(沢木耕太郎・著)」
「還るべき場所(笹本稜平・著)」
死と真正面から向き合う山男・山女達。
感動した。
いずれもラストに向けてドンドン本を読む手が早くなり
その結末に圧倒された。
登山、それも8000m級の山に挑む登山は真剣勝負。
間違えば命を落とす。
それどころか万全を期しても自然の猛威にさらされ
命を落とすこともある。
現代社会においては限られた、命を対価として支払う可能性がある
究極のスポーツかもしれない。
それだからこそ人生をかけて登山にのめりこむ人達もいる。
だがその人たちが全て命知らずで山で死んでも良いと
思っているわけではない。
色々な人達がそれぞれの本気と矜持で登頂と下山を目指す。
凄く面白くて考えさせられる作品たちだったが、
判ったのは「私は山男にはなれんな」ということ(笑)。